「あ~あ~。

地雷ふんじゃいましたね。」

 

「笑い事じゃないんだから!

ねえ、シゲさん・・・。どうしよう・・・。」

 

「そりゃお前、謝るしかないやろ。」

 

「でも謝るって・・・。どう言ったら・・・。」

 

「ふつうに謝ったらええやん。」

 

「ふつうってなによ。」

 

「ちょっとは自分で考えんかい。

素直に悪いと思ったことを謝ったらええがな。」

 

「う~ん・・・。

ラビ斗はラビ斗なりに頑張ってくれてるのに、ほかのオスを引き合いに出して駆け引きしたところとか?」

 

「そやな。

ほんでお前、告白してきたヒョウのオスとかおったか?」

 

「え?いないよ。

そう言っただけ。」

 

「なんやねん。おらんのかいな。

おかしい思ったわ。」

 

「うん。

そう言っておいたら、私をほかのオスに取られたくないと思ったラビ斗が、『そんな奴のとこに行くな!しょうがねえから俺が付き合ってやんよ!』みたいに言ってくれるかなって期待したの。」

 

「お前それ、期待しすぎやぞ。」

 

「うん。こんなにブチ切れられると思ってなくてビックリした。」

 

「よう覚えとけ。

恋愛での駆け引きはな、『力関係が自分の方が上、もしくは対等』『相手が自分に好意を寄せている』という2つの前提がないと成立せーへんねん。

この2つがない状態で駆け引きしても、『コイツ、なに値打ちこいとるねん』で終わりや。」

 

「えっ!?そうなの!?

知らなかった!」

 

「考えてみいな。

なんとも思ってないオスから、LINEの返信遅らされたり、ほかのメスのことをちらつかされたりしても、なんとも思わんやろ。」

 

「たしかにそりゃそうだ!

でもさ、シゲさんはラビ斗が私のことをすでに好きだって言ったじゃない?

しかも力関係は対等なつもりなんだけど、じゃあなんでほかのオスをちらつかせたら、ラビ斗はあんなに怒ったの?」

 

「ええ質問や。

駆け引きが地雷になる相手っていうのがおるねん。

それが、『相手が過去の恋愛で傷ついた経験がある』『相手が人をまったく信用しない』『相手が草食系』という場合や。

アイツにとっては、ほかのオスをちらつかせるという古典的な恋愛テクニックは地雷になったっていうことや。

あそこまで怒るということは、過去にこの類の駆け引きをメスからされて、傷を負ったと考えていいやろう。」

 

「そっか~。

シゲさん言ってたもんね。

ラビ斗は過去の恋愛で傷ついた可能性があるって。

そう考えるとすごく申し訳ないことしたなあ・・・。」

 

「ほならその申し訳ないと思ってる気持ちを、素直にラビ斗に伝えたらどうや。」

 

「そうだね!うん、分かった!」