「恋するフラグ、立っちゃいましたね。」
「でもこのときは本当にこわかったんだから!
犯される!って思った!」
「生きてても、意外にこういうシチュエーションに遭遇することって少ないからな。
そら怖かったやろう。」
「そうなのよ~。だってしま男がいくら正義感つよくても、絡まれたら別だと思ったよ。
もし立ち向かってくれたとしても、瞬殺されるって思うじゃん。」
「まあそう思うわな。
男には『ヒーロー願望』と言うてな、男児たるもの強くなくてはいけないという思い込みがあるねん。
でもな、そういう思い込みがあるのに、こういうシチュエーションに遭遇して実際に立ち向かえる人はあんまりおらん。
いくら男や言うても、度胸ある人ばっかりちゃう言うことや。
それやのに、ほとんどの男は中防んとき、大勢のヤンキーに絡まれて瞬殺する自分とか、テロリスト相手に無双する自分を妄想してるねんな。
これもヒーロー願望からくる妄想やわ。」
「なにそれ~。男ってそんなに単純なの?ウケる~。」
「お前らかって、ある日とつぜん運命の人に出会うシチュエーションを妄想してるやろ。
曲がり角でぶつかった相手と恋に落ちるとか、たまたま落としたハンカチを拾ってくれた人と恋に落ちるとか。
種類はちゃうけど、そんなシチュエーションはまずないし、それと似たようなもんや。」
「うっ!まあそうなんだけど・・・。
でもさ~。私の本音としては、誰かに絡まれたときに調子にのってケンカを売りかえすオスっているじゃん?
お前はいいところ見せたいかもしれないけど、私まで巻き添えくったらどうすんの!って思っちゃう。」
「そらそうや。そんな奴のヒーロー願望に付き合ってられんからな。
なにより最優先なのは、一緒にいる女性の安全の確保や。
そのために立ち向かうのと、自己顕示欲でええカッコしたいのとは話がぜんぜんちゃうからな。
場合によっては万が一のことを考えて、巻き添えくらわんように女性だけ先に逃がすとかせなあかん。」
「そう!それそれ!
ていうかさ、調子にのって立ち向かったのはいいけど、ボコボコにされてたら心配するっていうか萎えるかも~。」
「うーむ。それは立ち向かい損ですね。
でも調子にのってケンカ売りかえして、返り討ちにあってたら世話ないわな。」