「へ~。ええ感じやないか。」

 

「どこがよ!だって私たち、付き合ってないんだよ!

まあ・・・そりゃたしかに良くしてもらってはいるけど・・・。」

 

「女性ってなんでも白黒ハッキリつけたがる人が多いからな。

どれだけほかが良くても、曖昧な関係性って耐えられへんのやろ。」

 

「そう!それそれ!

いくら良くされても、『どうせ彼女じゃないし』って思っちゃうんだよね・・・。」

 

「まあ、その気持ちは分からんでもないけどな。

たしかに、昔は『相手のことが好きだったらなにがあっても付き合う』っていうのが、常識のように言われとった。

でもな、現代ではそのセオリーは通用せーへんねん。」

 

「えっ!?どういうこと??」

 

「そもそもやな、『好きだったらふつう○○してくれるはず』というのは万人に当てはまらんねん。

ちなみにラビ斗の場合、お前のことがすでに好きなはずやねん。」

 

「え!?マジで!?超うれしい!!」

 

「でも付き合わへん。なんでか分かるか?」

 

「う~ん・・・。付き合う決定打に私が到達してないとか?」

 

「おおむね正解や。

どういうことかって言うたらな、相手のことが好きやのに交際に踏み込まへん理由、それは、『育ってきた環境』か『過去の恋愛』のどっちかが起因してるねん。」

 

「え~~。ますます意味わかんない・・・。」

 

「たとえば『育ってきた環境』。これが原因で付き合えへん場合、親から虐待されてたことで、絶対的信頼をおけるはずの親を信用できなくなって、人間不信になったことなどが考えられる。

まあこれはあくまでも一例や。

次に『過去の恋愛』が原因で付き合えへん場合。これは元カノに『ひどい束縛をされた』か、もしくは『ひどい裏切り方をされた』かのどっちかや。

言うたら、『女性=縛るもの』か『女性=裏切るもの』っていう認識でひとくくりで見てるわけやな。」

 

「でもそれっておかしくない?親から愛情をもらえなくて、誰も信じられないのはなんとなく分かるけど、過去の恋愛が原因で付き合わないのは納得いかない!

私は束縛もしないし、好きなオスを裏切ったりしないよ!」

 

「お前がいくらそうであっても、一度そういう経験をしたやつは種族全般をひとくくりで見てまうねん。

傷つき度合いによるけどな。

女性かって、ひどい男に引っかかってだまされたら、そういう目で男全般を見てまうやろ。」

 

「あ!たしかにそうかも!

あれ?でもなんで宇佐美は、何回もダメな動物に引っかかってるのにそうじゃないんだろ・・・。」

 

「まあアイツはちんちくりんやししょうがない。

学習能力あらへんねん。

ていうか、相手を美化しすぎることで、『次こそは大丈夫なはず』って期待してまうのもあるんやろな。」

 

「あ~。それあるかも。

自分を雑に扱う相手なんて、なんの価値もないのにね。

シゲさん、アイツのことよろしくね。」

 

「おう。まかせとけ。」

 

「なら安心かな。

でもさ、いくら過去の恋愛で傷ついたからってね、それをずっと引きずるのって女々しくない?」

 

「ええ質問や。人にはそれぞれ個体差があるねん。

たとえばな、周りの人から見て『え~~そんなくだらないことで悩んでんの?』っていうことであっても、悩んでる本人からすると、今すぐ消えてなくなりたいぐらいの悩みかもしれんねん。

とらえ方と感じ方は人それぞれや。傷つき方もそれは同じ。

たとえ、周りから見たらしょうもないことで傷ついているように見えても、本人からしたらそうじゃないっていうこともあるわけや。

メンタルの強さはみんな同じやない。たとえるなら、ヤムチャのように弱い人もおれば、フリーザみたいに強い人もおるわけや。」

 

「そっか~。

でもヤムチャって人間界ではつよくない?」

 

「まあそやけども。ていうかそこ視点かいな。」