「おう、お疲れ!」

 

「え、ああ、ありがとう。

ねェ~、どうしよう・・・。」

 

「まあ、お前にもまたいいオスが見つかるって!」

 

「ちょっと!

なに勝手に終わらせてんのよ!

まだ終わってないし!」

 

「でもこの状況、厳しいのは厳しいで。

だって、一目惚れしたということはルックスを好きになったということやし、相手に多少イヤな部分があっても許せてしまうってことやから、よほどのことがない限りなかなか気持ちが冷めることはないわ。

それに、もししま男が冷めたしてもホル菜のことを好きになるってかぎらへんで。」

 

「なによ!諦めろって言うわけ?

ていうか、私、ミーコとかいうあんなションベン臭そうなガキに負けるなんて納得できない!」

 

「口悪いやっちゃなあ。

異性の好みなんてみんなそれぞれ違うから、自分から見てどこがいいんだろうと思ってても、相手からしたら、ものすごく魅力的に映ってることなんてよくあることや。」

 

「うう~~。

そうなんだけどさ~~。

ねェ、これから私、しま男にどうやってアプローチしたらいい?」

 

「どうやってって、なんもできひんで。」

 

「えっ!

できないってなによ!

アンタ、凄腕の恋愛カウンセラーなんでしょ!?」

 

「そうやで。」

 

「じゃあ、なにかしら方法あるんじゃないの!?」

 

「よう考えてみいな。

どうしてもラーメンが食べたいって言うてる人に、甘いものどうですか?ってすすめても、いらんがなってなるやん。

それ以上すすめたらただの押し売りになるやろ?

ようするに、しま男は今、ミーコのことしか頭にないってことや。」

 

「うぅ・・・。」

 

「でも、今までどおり飲みに行ったりはできるし、諦めへんのやったらまだ可能性はゼロではない。

ただ期待はするな。

現実的な話になるけれど、可能性がゼロではないってだけで、厳しい状況であることになんも変わりはないし、このまましま男の気持ちが冷めへん限りは、なにをしても無駄やと思った方がええ。」

 

「なにをしても無駄・・・。」

 

「そうや。

そのことが分かってないと、『もしかしたら』という期待を抱えて相手に接してしまう上に、自分に振り向いてもらおうことに固執するんや。

すると、今までにやったことがない変なコミュニケーションを取ってしまい、それが結果的に今までの関係を崩すことになりかねん。

ホル菜の場合やと、しま男とは仕事以外でも気軽にお酒が飲める関係やから、『もしかしたら、私のことをちょっとはいいなと思ってくれてるはず』という期待や。

前にも似たようなこと言うたけど、もっかい言うぞ。

動物としてよく思われてるのは事実やけど、メスとしてはなんとも思われてへん。」

 

「・・・!!!

ひどい!!!

そんなにハッキリ言わなくたっていいじゃない!!!!」

 

「ハッキリ言わへんかったら、ホル菜はまだしま男に期待してたはずや。

それに、このまま何もできないままやと、しま男をミーコに取られまいと焦って、これまで関係を持ってきたオス達に使った恋愛テクニックつかってアプローチしてしまうやろな。

そうすると、アイツはどう思う?

今までふつうに仲良くしてた動物が、いきなり態度を変えてきたから、不審に思ったり引いたりするんちゃうか?」

 

「う、たしかに・・・。」

 

「しま男が草食系やという事実を忘れたらあかんで。

まあ厳しいこと言うたけど、ミーコはなかなかの性悪で食えないメスやから。

それにしま男が気づくかどうかやな。」

 

「え!?

そうなの!?

ていうかなんでミーコのキャラをそんな設定にしたの?」

 

「だって、お前がなにもできひんままやったら、この漫画の話が先に進まんから、おもろないやん。

ホル菜はこれからミーコに振り回されるで~。大変やで~。」

 

「もう!なに楽しんでんのよ!!

今から設定かえなさいよ!!」

 

「イヤですぅ~。

でもな、ミーコの存在はお前の成長にとって必要なことやから、登場させてん。

だから悪く思うな。」

 

「うう~~。

なんかよく分かんないけど、そういうことなら許してあげ・・・

でもやっぱりムカつく!!」