「さすが女の子と距離詰めるのが上手いな。ヤリチンは。
しかもギャップ効果を使用したあとやし、宇佐美も警戒してなかったやろ。」
「ほんとそれ!本当は真面目な狼なのかなって思ってたから、ついうっかりだまされちゃった!」
「おいおい。基本的に真面目なやつはナンパとかせーへんぞ。
清純派AV女優ていう肩書ぐらい違和感あるがな。」
「うっ!言われてみればそうだけど・・・。」
「もう2人で飲みに行くのが確定した時点で、竜一狼は勝ち戦を確信してたっていうことや。」
「勝ち戦・・・。会う前からヤレるって思ったってことよね・・・。
あ、でも竜一狼ってさ~、今思えば話だけは本当におもしろかったんだよね~。」
「まあな。俗にヤリチンと呼ばれる種族は、女の子を楽しませる術に長けてるから、おもろい奴が多いねん。」
「うん。なんか、『すべらない話』聞いてるみたいだったもん。」
「おもろいやつってな、大体が鉄板ネタをいくつか持ってるから、人に話しているとだんだんネタの精度が上がってくるねん。
竜一狼の場合は、いろんな女の子にすべらない話をしたことで、1つ1つのネタの精度が上がったっちゅうことやな。
ちなみに俺も鉄板ネタは何個か持ってるわ。細かいネタ入れたら数え切れへん。」
「へえ~。藤本先生も、その鉄板ネタで昔は女の子を笑わせてだましてたんだ~。」
「ア、アホぅ。人聞きの悪いこと言うな。」
「でも昔、藤本先生もヤリチンだったんでしょ?」
「え、いや、そんなことは・・・あるけども・・・。」
「最低!女の敵!極悪人!」
「俺がお前になにしたっちゅうねん。
えらいとばっちりやで。」
「でも今は違うんでしょ?じゃあ許してあげる!」
「あの~。なにから目線なんですかね?
まあええわ。竜一狼の話はたしかにおもろかったかもしれん。
でも思い返してみてくれ。
ほとんどの会話に中身なかったやろ。」
「あ!そうかも!
でも・・・なんか、『俺は将来ビッグになる!』とか言ってたよ!」
「どこの田原なに彦やねん。
ちなみに、その将来設計はちゃんと聞いたか?」
「聞いたけど、なんか社長になりたいとか、大きなことを成し遂げたいとか、思い返せばかなり漠然としてたなあ・・・。」
「口だけいうこっちゃ。
穴だらけの将来の夢を語るのも、ダメ男の特徴や。
コイツがビッグになるのは股間だけやで。」
「そうなんだ・・・って下ネタ嫌い!!」
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