「さて。ここから宇佐美のダメ恋が始まるわけやけども。」

 

「はい・・・。」

 

「あれやろ。

最初はものすごい不信感あったのに、話してみたら意外に礼儀正しかったのと、あっさり引き下がったことでちょっと拍子くるったやろ。」

 

「うん・・・。動物を見た目で判断したらダメだなって思った。」

 

「よう覚えとけ。

ナンパする男ってタメ口でチャラいイメージあるけど、ナンパが上手いやつは礼儀正しく声をかけてきよるねん。

これは手口や。そもそもやけど、知らない人にタメ口で話しかけるとか失礼やからな。

それに、詐欺師とヤ○ザは笑顔で近づいてくると言われてる。

大人になればなるほど、利害関係なさそうなふりでいい顔して自分に近づいてくるやつは、なにか訳があると思った方がええ。

簡単に信用して泣きを見ることになったら、だました相手がもちろん悪いけど、簡単に信用した自分も悪い。

信用というのは、お互いが長い期間をかけて向き合い、信頼関係を積み重ねていって『この人はこういうことしないだろう』というのが信用するということ。

要は、得体のわからん相手を簡単に信用するなってことや。」

 

「はい・・・。耳がいたい・・・。

あ、ちなみに私はたれ耳ウサギだからね!

丸まってる部分は髪型のように見えて、耳の一部だったりするんだよ!」

 

「俺が描いてるし知ってたけど、改めて言われるとキショいな。」

 

「ひどーい!キショいって言った!謝って!」

 

「はいはい。すまんこった。」

 

「もっとちゃんと謝って!!」